大阪府医ニュース7月31日号から


経過報告
堺市のO−157集団検診 2次感染にも注意を
                    堺市医師会副会長
                    大阪府医師会理事
                        樋上 忍



7月11日頃より、軽い下痢症状を訴える学童が出始め、7月13日(土)堺市北野田の奥村小児科より、診察開始時、腹痛、血性下痢便の他、嘔吐を訴える学童十数名来院、直ちに、金岡保健所に連絡。その後、他の医療機関からも同様の連絡が保健所に入り、堺市衛生部も異常事態に気付く。堺市6支所の内、主として泉北(南支所)、深井(中支所)、金岡(北、東支所)保健所管内を中心に、同様の症状を訴える学童急増。堺市の急病診療センターは宿院(旧市内)と泉北の二カ所にあり、内、土曜準夜は宿院急病診療センターで対応しているため、患者が急増し、オールナイトで対応(該当患者数147名、入院患者10名)、14日(日)も宿院急病診療センター(10〜21時)に149名受診。内、該当患者86名(入院24名)、泉北急病診療センター(10〜15日1時)に603名受診。内、該当患者543名(入院3名)総数で、土、日合わせて、776名(入院37名)に上り、日頃の患者数の約5倍を数えた。

堺市医師会としては入院ベッドの確保と、大阪労災病院にも応援依頼し、14日(日)午前1時より外来を開いて対応してもらう。その間、大阪府救急医療情報センターに、ベッドの確保を依頼。大阪市立総合医療センター、住吉市民病院、府立病院等でベッドを確保。堺市内の小児科標榜の病院を中心に、外来、入院に対応。
市立堺病院でも伝染病棟を開いて対応。同病院は、野戦病院状態で、宿院急病診療センターへ患者の移動を要請し、同センターで対応。
堺市衛生部では、学童集団下痢症対策本部設置。患者数の把握、医師会と連絡を密にして、二次後送ベッドの確保に努める。
14日(日)夕方迄は、堺市内および、その周辺の病院への入院で対応できていたが、満床状態になり、午後5時頃から、大阪府救急医療情報センター、大阪市中央急病診療所と連絡を取りながら、二次後送。 14日夕現在、プレス発表では患者数2691名、内入院140名。両急病診療センターは、応援医師の出務により、特に、泉北の方は4人体制で対応。
16日(火)。堺市内92小学校の担任教諭による家庭訪問での調査集計では、全学童数約24万人中、有症状者数6178名、受診者数4698名、入院患者数497名(市内271、市外226名)と、同時点での対策本部の発表、患者(概数)4784名、内入院359名(市内253名、市外106名)となっており、入院患者数の把握に大きな差違がみられ、学校での調査の方が、より正確な数と思われる。その後、発病第5・6病日(15日、16日)頃から、HUS(溶血性尿毒症症候群)が増え始め、21日午前9時現在、対策本部の発表では、学童患者6094名、入院667名(現在入院461名、退院206名)、入院の内71名が重症(内、重体19名)、学童以外の患者72名(乳幼児重症2名)、教職員関係74名、発生小学校61校、以上が、21日迄の経過であるが、心配された二次感染による、周辺への拡がりがみられつつある。
O157大腸菌下痢症の臨床上の特徴は、腹痛、下痢、血便であるが、ベロ毒素による腎障害の為、初期よりの蛋白尿、血尿(ミクロ、マクロ共)、尿NAG、尿BMG上昇がみられるので、必ず、尿をチェックすることが必要。HUSの早期発見のモニターは、血小板数(著減)、LDH上昇、尿タンパク、他にBUN上昇、クレアチニン上昇。下痢、腹痛もよくなってきて、第5・6病日(国立小児病院・竹田先生のHUS80例のデータでは、平均5・6プラスマイナス2.7日、O157の下痢症の1〜10%がHUS発症)頃にHUSになることがある。何となく元気がない、活気がない児が、翌日になると、HUSを起こしている例が市立堺病院から報告されている。
散発的ながら、二次感染が発生し、次第に周辺に拡がりつつあると思われるので、O157大腸菌による下痢症のことも念頭に入れて、診療にあたっていただきたいと思う。


(症例)7歳男子
     7/13  7/15  7/16  7/17
     ・・・・・・・・・・・・・・
血小板  17.4  16.9      2.2↓ 7/16は腹痛なく元気。
LDH  422   310      2824↑ 7/17傾眠。
尿蛋白 (−) (−) (++)